ネットショップを開業する際に準備しておきたい、配送方法に関する基礎知識と業者の選び方について解説します。
基礎知識(業界シェア・配送方法など)
まずは基礎的なことを確認しておきましょう
配達方法を選ぶ前に覚えておきたい予備知識をまとめてみました。
配送業者の利用シェアについて
まずは、主要な配送業者について確認しておきましょう。
平成30年度 宅配便(トラック)取り扱い個数は下記のとおりです。
宅配便名
|
取り扱い事業者
|
取り扱い個数(千個)
|
構成比
|
宅急便
|
ヤマト運輸
|
1,803,530
|
42.3
|
飛脚宅配便
|
佐川急便
|
1,246,638
|
29.3
|
ゆうパック
|
日本郵政
|
942,214
|
22.1
|
フクツー宅配便
|
福山通運
|
142,324
|
3.3
|
カンガルー便
|
西濃運輸
|
120,600
|
2.8
|
その他
|
5,307
|
0.1
|
「国土交通省 平成30年度宅配便取扱実績関係資料」より転載しました。
国内での物流の大部分を、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵政、3社が担っているのがわかります。
配送方法は大きく分けて2種類
ネットショップでの、商品の発送手段は、メール便と宅配便の二種類あります。
名称
|
メール便
|
宅配便
|
対象商品
|
小さくて軽いもの
|
大きい荷物にも対応
|
配達方法
|
ポスト投函(不在でも受取可能)
|
基本は対面による手渡し
|
料金
|
全国一律で料金も安い
|
サイズ・重さにより変わる
|
配達日数
|
数日(3日以上)は掛かる
|
メール便より断然早い
|
時間指定
|
できない
|
できる
|
追跡
|
不明確またはできない
|
正確にできる
|
代金引換
|
できない
|
できる
|
補償
|
ほぼ無い
|
別途保険も掛けられる
|
小さくて、軽くて安価なものはメール便。
大きくて重くて高価なものは宅配便と使い分けて利用します。
メール便は事故や紛失などでの補償がつかないので注意してください。
配送料金(個人~特別契約まで)
配送料金は売上が多いお店ほど安くなる
ネットショップの配送料金は、運送業者との取引数量が多くなるほど料金は安くなります。その流れをまとめると下記の通りです。
個人向けサービス
スモールビジネスでは、個人向けの配送手段を利用する場合もあります。
マーケット限定サービス
たとえば、メルカリ、ヤフオク、minneなど。マーケットと運送業者が提携して、通常よりも料金を下げた配送方法が用意されたものです。ただし、該当マーケット以外での販売には利用できません。
事業者向けのサービス
ヤマト運輸、佐川急便などは、事前契約が必要な事業者向けの配送サービスがあります。個人事業主、法人として出店する際には、事前に準備しておきましょう。
事業者向けの提携サービス
ショッピングモールや決済事業者と運送会社が提携して、一般的な料金よりも安く提供されている配送プログラムのことです。※楽天特別運賃プログラムなど。
運送会社との特約契約(大口契約)
お店としての実績があれば、運送業者と個別に料金の交渉ができます。特約契約が成立すれば、一般料金よりも安く配送業者を利用することができます。
メール便
メール便の代表的なサービスをご紹介
サービスごとに仕様が違うので確認してみてください。いずれもポスト投函で時間指定や代金引換などはできません。
個人向けサービス
名称
|
運送会社 |
料金
|
商品
|
信書
|
追跡
|
個人
|
日本郵政
|
全国一律198円
|
衣類、雑誌
|
-
|
◯
|
◯
|
|
日本郵政
|
全国一律180円
|
文庫本、DVD
|
◯
|
◯
|
◯
|
|
日本郵政
|
全国一律520円
または370円 |
衣類、DVD
|
◯
|
◯
|
◯
|
|
日本郵政
|
180円~360円
|
冊子、DVD
|
-
|
-
|
◯
|
メール便には事故・紛失などによる補償はありません。
クリックポスト、スマートレター、レターパック、ゆうメール(書留・代金引替以外)はいずれも、配送中の事故や紛失などによる補償はつきません。
ネットショップで利用する際には「一切補償はない※お客様の自己責任の意味」と明記するか、店舗負担で独自の補償をつけるかの二択になります。
事業者向けのサービス
名称
|
運送会社 |
料金
|
商品
|
信書
|
追跡
|
個人
|
クロネコDM便 ※
|
ヤマト運輸
|
上限167円
|
衣類、雑誌
|
-
|
◯
|
-
|
ヤマト運輸
|
上限385円
|
衣類、雑誌
|
-
|
◯
|
-
|
|
佐川急便
|
168円~325円
|
衣類、雑誌
|
-
|
-
|
-
|
|
佐川急便
|
115円~456円
|
文庫本、CD
|
-
|
-
|
-
|
※クロネコDM便については現在は商品発送に利用できません。
ネコポスは1個につき3千円(税込)までの補償がつきます。飛脚メール便、飛脚ゆうメール便、はいずれも補償はつきません。
信書に関して覚えておきたい基礎知識
信書とは何ですか?
信書とは、特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書のことです。ネットショップにおける、納品書、領収書もこれに該当します。
納品書は同封できないの?
上の”たぶん”は、最終的にはご自身の判断になるという意味です。
総務省の指針によると、信書でも「貨物に添付する無封の添え状又は送り状は」この限りではないと明記されています。つまり、同封する荷物に関連したもので、無封状態であれば同封してもいいというわけです。
信書に該当する文書に関する指針(平成15年総務省告示第270号)5添え状・送り状より抜粋:運送営業者、その代表者又はその代理人その他の従業者は、その運送方法により他人のために信書の送達をしてはならないが、貨物に添付する無封の添え状又は送り状は、この限りでないこととされている(郵便法第5条第3項)。
https://www.soumu.go.jp/yusei/pdf/h17_s04.pdf
宅配便
宅急便の代表的なサービスをご紹介
宅急便について代表的なサービスをご紹介します。送り先の地域やサイズで料金も違うので比較しながら検討してみてください。
個人向けサービス
名称
|
運送会社 |
料金
|
商品
|
追跡
|
個人
|
日本郵政
|
84円~
|
雑貨、ポスター
|
◯
|
◯
|
|
日本郵政
|
250円~
|
衣類、化粧品
|
◯
|
◯
|
|
日本郵政
|
800円~
|
衣類、靴
|
◯
|
◯
|
|
ヤマト運輸
|
610円
|
衣類、雑誌
|
◯
|
◯
|
|
ヤマト運輸
|
1040円~
|
衣類、雑誌
|
◯
|
◯
|
代金引換の導入問い合わせ先
- 日本郵政・・・契約不要で個人でも利用できる。
- ヤマト運輸(ヤマトフィナンシャル)・・・事前契約が必要。
- 佐川急便(佐川フィナンシャル)・・・事前契約が必要。
法人向けサービス問い合わせ先
運送会社の宅配便と特約契約について一言
無償の宅配袋なども聞いてみましょう。
最近はあまりもらえないケースが多いですが、営業所によっては無償で宅配袋を支給してくれる場合があります。念の為、確認してみてください。
着払い伝票でも特単交渉も出来ます。
ネット買取、ネットレンタル、サブスク系など。店舗に対して着払いで荷物を受け取る事が多い場合には、着払い伝票に対して特約契約を交渉してみましょう。実際に契約できたので交渉できますよ。
最後に個人的な業者と料金のイメージ。
特約契約の料金に関して。あくまでも私見ですが、数が増えるほど「日本郵政→ヤマト運輸→佐川急便」の順番で料金が安くなる印象です。ただし、地域ごとに違うという話も聞くのであくまでも参考程度に。
離島への発送はヤマト運輸が安くて早い。
特約契約とは関係ないですが豆知識として。離島への料金はヤマト運輸が一番安くて早いです。関東→沖縄でも、タイムサービスで最短翌日には届きます。
マーケット提携の配送サービス(メルカリ・ヤフオクなど)
マーケット内でのみ利用できる提携配送サービス
フリマアプリ、ハンドメイドマーケットプレイスなど。各マーケットと配送業者が提携して一般料金よりも格安に提供している配送サービスです。
ヤフオク
- ヤフネコ!パック・・・ヤマト運輸との提携サービス
- ゆうパック・パケット(お手軽版)・・・日本郵政との提携サービス
メルカリ
ラクマ
- かんたんラクマパック・・・日本郵政、ヤマト運輸との提携サービス
モバオク
- らくらく定額便・・・モバオクと日本郵政の提携サービス
ミンネ
- らくらくミンネコパック・・・ヤマト運輸との提携サービス
事業者向けの契約者限定サービス(楽天・イプシロン)
契約者限定の特別価格で利用できる
ネットショップ運営事業者や決済事業者など、ネットショップに関連するサービスと運送業者が提携して提供されているサービスです。
楽天特別運賃プログラム(楽天市場出店者限定)
楽天市場と日本郵政が提携して提供されている、楽天市場出店者限定の配送サービスです。運賃は交渉して見積もりを出してもらう形です。
イプシロン配送サービス(イプシロン決済契約者限定)
イプシロン決済を導入している店舗限定で利用できる配送サービスです。月額固定費0円で配送料金以外にお金は掛かりません。
イプシロン決済が導入できるのは下記3社です。
物流アウトソーシング(在庫管理・発送代行)
物流アウトソーシングとは
ネットショップにおける、在庫管理から発送業務まで外部に委託できるサービスのことです。少人数でもネットショップの運営が可能になります。
モール型ECサイト出店者向け
- Amazon(FBA)・・・料金的にも知名度的にも第一位のサービス。
- 楽天スーパーロジスティクス・・・楽天の物流代行サービス。
- Yahooコマースパートナー・・・ヤフーの物流代行サービス。
自社ECサイト向けのサービス
BASE・STORESなら管理画面から出荷依頼できます。
オープンロジは「STORES」と連携して、管理画面から出荷依頼できます。コレクトロジは、「BASE」と連携して管理画面から出荷依頼できます。
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海外への商品発送
国際郵便(日本郵政)を利用しましょう
絵画への発送は難しそうと考える方も多いようですが、じつは全国の郵便局で簡単に手配することができます。
国際郵便は、EMS、航空便(AIR)、エコノミー航空(SAL)便、船便の4種類ありますが、最初は手軽な「EMS」からはじめてみましょう。
国際郵便の料金やサービスの比較
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複数配送先指定
ギフト商材では必須とも言える機能
ネットショップで買物した際に、一回の買物で複数の配送先が指定できる機能のことです。お中元、お歳暮などの贈り物商材では必須の機能です。
複数配送先指定に対応しているのはサービス。
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送り状の印刷
運送会社の専用ソフトなどをご紹介
送り状の印刷は、ネットショップサービスから出力されたデータをもとに、運送会社の専用ソフト等を利用するのが一般的です。
手書きの作業は、手間と時間が掛かるというだけでなく、記入漏れや時間指定の抜けなどが発生する原因になるため出来る限り自動化をすすめましょう。
日本郵政
個人向け
- WEBゆうぱっくプリント・・・インターネットでデータ入力して印刷できる。ゆうパック、ゆうパケット、普通郵便等に対応。
事業者向け
- ゆうぱっくプリントR・・・パソコンにインストールして利用するソフト。ゆうパック、ゆうパケット、ゆうメール、普通郵便等に対応。
- ゆうパックプリント産直・・・直販を実施している通販業者向けの通販管理ソフト。送り状の印刷も可能。※一部有料。
- ゆうパックプリントSky・・・通販事業者向けの出荷管理システム(送り状の印字も可能)固定費:月額6,000円、1出荷あたり5円。
ヤマト運輸
個人向け
- 送り状発行サービスC2(個人向け)・・・自宅で送付状を印字できるサービス。対応しているのは宅急便の伝票だけです。
事業者向け
- B2クラウド・・・インターネットでデータを入力して印刷するソフト。宅急便、ネコポス、クロネコDM便、宅急便コンパクトなど大部分のサービスに対応。
佐川急便
事業者向け
エクセルなどから印刷したい方
ドットインパクトプリンターを利用しましょう。
エクセルのデータなどから宛名印刷する場合など、特別なフォーマットの宛名印刷をする際に便利なのが、ドットインパクトプリンターです。最近では価格もリーズナブルなので、一台あると何かと活躍してくれます。
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ネットショップ開業する際に覚えておきたい、商品配送の基礎知識について解説しました。最後にもう一つだけ付け加えておきます。
配送業者は複数社準備しておきましょう
- お客様が複数の業者から選択できるようにしよう。
- 地域で料金や所要日数が違うので使い分けよう。
- 突然の値上げでも切り替えできるように準備しよう。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
また新しい情報などあれば更新していきます。